#6 絶海の孤島

 周囲の島よりはるかに小さく、離れた位置に一つだけポツンと存在する絶海の孤島、満島。

 個人所有の島らしく、定期船等はない。

「三宅島も御蔵島も、まさか満島の存在自体知らない人のほうが多数派だなんて……」

 神津島へ向かう船上で、安東は最近癖になった溜め息を吐く。

「無人島だと思っていた、とか……まあ、不法侵入してまで行こうとする大人はいないし、子供だけじゃ行けないだろうしな」

「今度は収穫があると良いんですけど……」

 神津島に到着し、早速聞き込みを始める。

 やはり島の存在を知っている人は少なく、知っていたとしても、人の土地らしい、島に向かう船は見たことがない等の証言ばかりであった。

 また、満島周辺はよく霧が発生するらしく、船で近くを通ることもないそうだ。

「――満島の話を聞いているっていうのは、君たちのことかね?」

 聞き込みを始めて数時間、一人の島民が声をかけてきた。八十代くらいの男性で、いかにも好々爺という感じだ。

 すぐ近くにあるという自宅に招かれ、縁側でお茶を頂く。

「……この話をするとね、昔だと夢を見ていたんだ、今だととうとうボケたか、なんて言われるもんだからね、あんまりしないようにしていたんだよ。でも、これも何かのご縁かもしれないから。――――あの島、満島はね、神様の島なんだ」

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