#15 異邦人

「……!」

 声がした方に目を向けると、一人の少年が立っていた――高校生くらいだろうか。

 深いアメジストの目、柔らかな白銀の髪。

「……どうやってこの島に入ってきたの?」

 日本人離れした容姿の少年が発した、けれど明らかに日本人らしい発音のせいか、非現実的な感覚に陥る。

「えぇっと、エンジンが、ボートが故障して! それで、流されて……」

 しどろもどろになりながら、安東が設定通り説明する。

「……ふぅん」

 怪しんでいるのか、元来口数が少ないのか、素っ気ない反応だ。

「ここに住んでるの? それとも遊びに来た? 誰か大人は一緒か?」

 尋ねると、少年は数秒沈黙した後、ポツリと答えた。

「こっち」

前頁 目次 次頁