「……!」
声がした方に目を向けると、一人の少年が立っていた――高校生くらいだろうか。
深いアメジストの目、柔らかな白銀の髪。
「……どうやってこの島に入ってきたの?」
日本人離れした容姿の少年が発した、けれど明らかに日本人らしい発音のせいか、非現実的な感覚に陥る。
「えぇっと、エンジンが、ボートが故障して! それで、流されて……」
しどろもどろになりながら、安東が設定通り説明する。
「……ふぅん」
怪しんでいるのか、元来口数が少ないのか、素っ気ない反応だ。
「ここに住んでるの? それとも遊びに来た? 誰か大人は一緒か?」
尋ねると、少年は数秒沈黙した後、ポツリと答えた。
「こっち」