#13 上陸作戦

「いやぁ、まずいですよ……これはまずいです」

 海風を浴びながら、思い詰めた顔の安東が呟く。

 太平洋を走る小型ボート。――目的地は満島だ。

 島で捜査をしたくても、個人所有である満島は簡単には立ち入れない。島の所有者とは一向に連絡が取れずにいる。今のところ満島が事件と関連していることを指すのは、舟の出発点であろうという推測だけだ。確度は高いはずだが、証拠として弱いのか令状が出ない。

 エンジンが故障し遭難、満島に流れ着いた、という体で上陸することにした。無理矢理感は否めないが、捜査を進めるには強行突破するしかない。

「船舶免許を持っているとは、安東も使えるな」

「こんなことのために取ったんじゃないんですけど……」

 安東の小さな反抗は、エンジンと波の音に掻き消された。

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