「丁度こちらに戻っていたところです。すぐ向かいます」
神津島から戻った翌日、伊崎から連絡があった。
「……あのぉ、何か特別な処置をされたんですよね?」
通常とは異なる方法で遺体安置をしていると説明され、安東が遠慮がちに聞く。
「――いえ……解剖後、普段以上に丁寧に戻すようには心掛けましたが、防腐や殺菌等の処置はしていません」
「え、じゃあ――――だって、発見時と何も変わってないじゃないですか……!」
「そうですね。縫合痕がある以外は、全く変わっていません。何もかも」
どこか泣きそうにも聞こえる安東の声に、極めて冷静に伊崎が答えた。