きらきら光る青が白く泡立って、象牙色の砂浜に引き寄せられていく。緑は生い繁り、色とりどりの花が太陽を見つめている。
一葉の小舟が、島から旅立ったようだ。
「――――いつか休暇を貰えたら……あんなところでゆっくりしたいな」
久しぶりの休日、惰眠を貪り幸せな目覚めを迎えると、窓からは夕陽が射し込んでいた。
あっという間に夜になり、明日の仕事のためにまた眠りにつく。よくこんなに眠れるものだと、自分でも思う。
翌日、目覚ましの音よりも聞き慣れた着信音で目を覚ました。発信者も確認せず電話に出ると、
「おはようございます、安東です。事件なんですが、少し不可解で――――」
捜査一課の後輩、安東からであった。
報告もそこそこに、現場へ向かうことにした。彼の口からは、凡そ常識では考え難い話が語られたためである。
四月二十日、都内の海岸で小さな舟が発見された。その舟の中には、スイートピーが溢れんばかりに敷き詰められていた。
そして、そのスイートピーに埋もれるように一人の女性が眠っていた。
――いや、眠っているように安らかな表情で、死んでいた。